私は、ブランクーシやモンドリアン、倉俣史朗、ル・コルビジェ、マルタン・マルジェラといった、尊敬する人たちの、時代に向き合い、社会に向き合いながら、アートやデザインという概念を通して生み出される、深く、内省的な思索の結実を、思想を、問題提議を受け取り、感じ、それを生きる糧としてきました。
そして、「デザインとは何か」を一言で語ることはできませんが、日々、そのことについて考え続けていることは事実です。
この度のデザイン会議の成果を考えたとき、何らかの結論を導くために、充分な論議をするには、あまりにも短い時間であったように感じております。しかし、まず、前提として時代における問題意識を持つこと、そして、専門分野やアプローチが異なる人々が集い、デザインの周辺をとりまく問題点や未来への布石という命題に対し、同じ場所に集い、問題意識を机上に並べ共有化し、各々の価値観をベースに、正直に語り合うことには、意義を感じました。人と人が対面し、自分の目で相手の目を見、自分の耳で相手の声を聞く、鼓膜を伝わって声の波動が振動し、その情報が記憶されていくことの確実性を感じた次第です。科学の進歩に伴って、通信手段、コミュニケーションの手段は進化し、我々は柔軟にそれらのことを取り入れてきたものの、それによって失い、表出した負の問題、コミュニケーションの質の低下や、精神構造の変化については、あまり語られていないように思います。
人と人とが直接関わり合いを持って進むことの価値や意味が再認識される時代が来たことを、改めて実感しました。
